物語

  • 序・付喪神神社

    序・付喪神神社

     むか~しむかしむかし、付喪神神社と呼ばれる神社があったそうじゃ―。

    朝日山神社奇譚・序章、『付喪神神社』ある老爺の昔話より。

    掲載日:2018/02/17  更新日:2020/07/26

  • 一対の蓮華

    一対の蓮華

     母屋から社務所に通じる廊下の傍らに、池がある。
     元からこの地にあった小さな池だそうで、ここを神社として整備する際、池はそのまま、住居をその傍に構えたらしい。
     そこでは紅白の蓮が一本ずつ、毎年綺麗な花を咲かせていた。

    『紅白の蓮の付喪神』付喪神物語より。

    掲載日:2018/02/18  更新日:2020/07/26

  • 市松模様の少女

    市松模様の少女

     夏といえども葉が落ちないわけではない。ハエのように小煩く聞こえてくる声をガン無視しながら、千春は境内の掃き掃除をしていた。
    「千春、ちーはーるー」
     千春の周りをうろうろと付きまとっているのは、一尺(約三十センチ)あるかどうかという驚くほどに背丈の小さい女の子だ。

    『かざぐるまの付喪神』付喪神物語より。

    掲載日:2018/02/19  更新日:2020/07/26

  • 台所の怪異

    台所の怪異

     ある祭りの準備の日、手伝いのために朝日山神社に来ていた村の者が、忙しそうな神社の人たちのために台所を借りて軽食を作ろうとしたという。
     村人が台所に入ると、どこからともなく音が聞こえてくる。
     最初はすきま風と思った村人は、特に気にせず、手を洗い、米を炊く支度をしはじめた。
     しかし、その音は次第にハッキリと、大きくなってくる。ぼそぼそ……となにかを呟く声のようだ。
     はて、誰か隠れているのかと、村人は声に耳をすました。

    『台所の付喪神』付喪神物語より。

    掲載日:2018/02/20  更新日:2020/07/26

  • お八つ時

    お八つ時

     時は徳川が天下を治めていた時代。
     黒い法衣に編笠を被った男が、頭陀袋ずだぶくろを抱えながら石造りの階段を上っていく。
     一番上までたどり着いた先で、九才そこらの黒髪の子供が、男が上りきるのを待っていた。
     黒い髪を頭頂部に近い高さでお団子に纏め、青を基調にした波のような水模様が入れられた着物に身を包んでいる。
    「おや、これは……」
     男は少年を見て何かに気づくが、なにかをする前に、先に子供に声をかけられた。
    「昼八つ」
     子供はそれだけを告げて男に向かって片手を差し出した。

    『時計の付喪神』付喪神物語より。

    掲載日:2018/02/27  更新日:2020/07/26

  • 桃の木と鈴と

    桃の木と鈴と

     近所の子供達の遊び場にもなっている朝日山神社。子供達は付喪神神社と呼んで怖がりつつも親しんでいる。
     そんなある日。普段は解錠されていない拝殿の中に忍び込んだ子供がいた。先日の嵐でたまたま壁の一部に穴が空き、たまたまそれが子供の通り抜けられる大きさであり、たまたま修繕前だったのだ。
     子供が忍び入ったのは、ただの好奇心からだったが、その子供はそこで、我が目を疑う光景に出会う。
     見慣れぬ長い金髪をなびかせて、纏った衣装の袖や裾をひらひらと踊らせて、とても美しい女性が拝殿の中で舞っていた。

    『拝殿の不思議な舞姫』付喪神物語より。

    掲載日:2018/04/23  更新日:2020/07/26

  • お祭りと付喪神

    お祭りと付喪神

     毎年、朝日山神社では初秋(現在の八月下旬〜九月上旬頃)に祭りが行われている。
     朝日山神社がある村に限らず、近隣の村々からも多くの人が詣に来る程、毎年盛況しているお祭りだ。その参拝客を目当てに屋台を出す人々も当然いる。その屋台の店主達は毎年揃って首を傾げるという。仕入と売上の数字が合わないのだと。
     すると朝日山神社をよく知る村人達は、揃って皆こう言うのだ。
      「あそこは付喪神神社だからねぇ、付喪神がこっそり持ってったんでないかい」と。

    『朝日山神社の秋祭り』付喪神物語より。

    掲載日:2020/08/02  更新日:----/--/--

その他