お八つ時

お八つ時 お八つ時

作品詳細

 時は徳川が天下を治めていた時代。
 黒い法衣に編笠を被った男が、頭陀袋ずだぶくろを抱えながら石造りの階段を上っていく。
 一番上までたどり着いた先で、九才そこらの黒髪の子供が、男が上りきるのを待っていた。
 黒い髪を頭頂部に近い高さでお団子に纏め、青を基調にした波のような水模様が入れられた着物に身を包んでいる。
「おや、これは……」
 男は少年を見て何かに気づくが、なにかをする前に、先に子供に声をかけられた。
「昼八つ」
 子供はそれだけを告げて男に向かって片手を差し出した。

『時計の付喪神』付喪神物語より。

お八つ時