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「シルフ……スコープ。お求めはシルフカンパニー……まで?」
 リーフは町の入り口の看板に書かれた文字を読み上げた。

 何それ、という感じが声から読み取ることができる。
「シルフカンパニー……ってどこ?」
 初めて聞く会社名だ。
 かといって、今までこれがどこの製品だとかどこどこの会社のだ、などということを気にしたことは全くなかったので、当然のことかもしれないが。
「ま、いっか。とりあえずポケセン行ってみんなの体力回復させなくちゃ」
 リーフはついさっきハナダのはずれからつながる“イワヤマトンネル”を通り抜けてきたばかりだ。
 野生ポケモンやトレーナーとのバトルで、手持ちのポケモンの体力は大分減ってきている。
 リーフは最後にも一度だけ看板を見て、ポケモンセンターへと走っていった。

 ポケモンセンターに入ると、なぜか暗い雰囲気が漂っている。
 町に入ったときからも感じていたが、どうもこの町は空気が重い。
 アヤは首をかしげながらもジョーイさんにポケモンを預けると、本棚の本を一冊とって回復を待つことにした。
「わたし……、絶対にあいつらを許せない……」
 不意にそんな声が聞こえてきて、リーフはページをめくる手を止めた。
「それは、わしらとて同じさ。けどあいつらは方法なんぞ全く問わん」
「だけど、あいつらのせいであの子は一人になったのよ?!」
 顔を上げると、町の人たちと思われる数人の集団が目に入った。
「いくらなんでもやっぱり無理よ。あいつらの方がポケモン、強いんだもの」
「だって……、いつも寂しそうな声で鳴くのよ……? それのに……それなのに!」
 そう言って、今まで憤っていた一人の少女は、ポケモンセンターを飛び出していった。
 残された人々は、ザワザワと少しざわつくが、誰も彼女を追いかけるものはいない。
 リーフは本を棚に戻すと、その集団に近づいていった。
「あの、どうかしたんですか?」
「? あなた、旅のトレーナーさん?」
 自分と同じくらいの少女が逆に聞き返してくる。
 リーフはこくりと頷くと、もう一度同じことを少女に聞いた。
「旅してるなら知らなくて当然よね。――ロケット団、ってあなた知ってる?」
「ロケット団――!?」
 ロケット団といえば、おつきみやまや、ハナダシティで会った悪の組織として有名なやつらだ。
 自分は町を出るまで知らなかったのだけど……。
「その顔、知ってるのね。それでね、そいつらが……、あるポケモンの母親を殺してしまったの」
 予想もしなかった少女の言葉に、リーフは言葉を失った。
 少女は続ける。
「ガラガラの骨ってね、結構な値が付くんですって。ロケット団はガラガラを捕まえて、売ろうとしたんだと思う。
だけどそのガラガラには子供のカラカラがいて、その子のところに戻ろうと逃げ出したんだけど……。逃げる途中に、ロケット団に殺されたの……」
 そして先ほど一人の少女が飛び出していった入り口を見つめて、締めくくるべき言葉をつむいだ。
「さっき飛び出していった子。そのカラカラをあずかってる子なの」
「そう……だったんだ」
「うん。だからこの町の人は、ロケット団を絶対ゆるさないわ」
 リーフはその言葉にうん、と頷いた。すると計ったかのように呼び出しのアナウンスが流れた。
「あ、ポケモンが回復したんだ。それじゃあ、また。話、聞かせてくれてありがとう」
「ううん。いいの。旅、頑張ってね」
 リーフと少女はお互いに手を振って分かれた。

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