ポケモン陰陽師 其の参
前回:ポケモン陰陽師 其の弐
彰子の竜鬼と、野生の水竜が陸と水で対峙している。
「竜鬼、みずでっぽう!!」
先に攻撃を仕掛けたのは彰子だった。
竜鬼は口から勢いよく水を発射する。しかし、水竜は水の中にもぐり、竜鬼の攻撃は空を切るだけとなった。
「追って!」
その指示通り、竜鬼は水の中へともぐっていく。
水の中で、竜鬼はすぐに水竜の姿を見つけた。と同時に、向こうから“みずでっぽう”が発射される。間一髪よけると、水面から彰子の指示が入った。
「竜鬼、たいあたり!」
竜鬼は水中を猛スピードで突き進み、水竜へと“たいあたり”をしかける。
かわされる。その後を追う。向こうは“みずでっぽう”で応戦してくる。
「バブルこうせん!!」
一瞬動きを止め、口から泡を吐き出す。それは相手の“みずでっぽう”とぶつかり合い、お互い一歩も引かぬ戦いとなった。
その頃上では。
「うわ……。あの水竜やるねぇ」
「まぁ、自分で自分の住処を守らなきゃなんなかったから、自然と強くなったんじゃね?」
昌浩と物の怪が彰子のバトルを見物していた。
「そうかも。確か住処が少ないんだよね」
最後の言葉は敏次に向けられた言葉であり、敏次は首を一つ立てに振った。
「ああそうだ。人が苦手という話もあるが、そもそもそんなに会うこともないからまだはっきりしていない。なかなか貴重な一匹だ」
「そうなんですか……。今度じい様にも聞いてみよう」
昌浩がそうつぶやいたのとほぼ同じくして、ドォンッ!! っと音とともに湖面に水柱が上がる!!
「きゃっ!」
「彰子!!」
思わず濡れないように腕で顔をかばった彰子に、昌浩は慌てて近寄った。
「大丈夫よ、昌浩」
「いやでも……」
「私は水系妖使いなの。このくらいの水はどうってことないわ!」
まぁ、確かにそうかもしれないと思うものの、やはり相手が相手なだけに、昌浩は心配せずにはいられなかった。
そこで仕方なく、昌浩は物の怪に今の戦況を聞くことにする。
「ねぇもっくん。何がどうなったの?」
“みずでっぽう”と“バブルこうせん”の威力が一定の場所に溜まり続け、それが総和して爆発を引き起こす。
激しい水の流れが生まれ、竜鬼と水竜は流れに呑まれないようにするのに精一杯だった。
少しして湖水が元の状態に戻ると、竜鬼はすかさず“たいあたり”を仕掛ける。
流れが収まってすぐのこともあってか、竜鬼の“たいあたり”はクリーンヒットし、水竜は悲鳴をあげる。
「キュウッ!!」
「いいわよ、竜鬼!そのままかみつく攻撃!!」
竜鬼は相手がひるんだ隙に、しっぽにガブリとかみついた。
再び水竜が悲鳴を上げ、がむしゃらに“きりさく”攻撃を放った。
口を離した瞬間に“きりさく”攻撃を体にくらい、竜鬼は水竜の下の方へと流される。
「竜鬼!!」
彰子の悲鳴が水面から聞こえた。竜鬼は姿勢を整えると、キッと水竜を見据えた。
彰子は竜鬼が無事だとわかると、最後の指示を出す。
「これで最後! 竜鬼、ずつき!!」
竜鬼はその言葉と同時に、上に突き上げるように“ずつき”を決めた。
水竜が水面上にはじき出される。
彰子はすかさず呪符を投げた。
呪符は水竜にあたり、そのまま水竜吸い込んでいく。
そして地面へと舞い落ち、もごもごと蠢いた。呪符に書かれた文字がいまだ光っている。
竜鬼が水面へ顔を出し、彰子と一緒になってその呪符を見つめている。
フッ、と突如として呪符の文字の光が消えた。呪符自体も何も動かなくなる。
彰子はふっと肩の力を抜き、笑顔になる。
知らず知らずのうちに呼吸するのも忘れていたようで、一つ大きく深呼吸した。
それから落ちている呪符を手に取り、竜鬼を抱き寄せる。
右手に持った呪符をビッと前に出して、ウインク一つ。
「水竜、ゲットだぜ!」
彰子はびしっと決めポーズをして、後ろで昌浩がこけた。
「あ……彰子。それ、俺の決めポーズ……」
「あら、いいでしょう? 昌浩。一度ね、やってみたかったの♪」
「さいですか……」
「彰子にもなかなかお茶目なところがあったんだなぁ……」
「確かに、意外だな」
昌浩はなぜかうなだれ、物の怪と敏次は新発見に感心していた。
当の彰子はうれしそうに竜鬼を話している。
無事、水竜をゲットした彰子とともに、昌浩の旅は、まだまだ続く。昌浩の次のゲットはいつになることやら。
〜TO BE CONTINUED〜
+++++あとがき+++++
はい、『ポケモン陰陽師 其の参』でした。とりあえず、ポケモン陰陽師はこれでお終いです。
書きたいこと書けたんでわりと満足。あえて言うのなら、バトルシーンをもっと頑張りたかったです。
一応二匹が覚えてる技を書いておきます。
*竜鬼*
- みずでっぽう
- バブルこうせん
- かみつく
- ずつき
- しっぽをふる
- みやぶる
- かたくなる
- ひっかく etc...
*水竜*
- みずでっぽう
- ひっかく
- きりさく
- あわ
- かみつく
- かみくだく
- アイアンテール
- たつまき etc...
見たいな感じです。
さて、次は何を書きましょうかね♪