朔紗夜同人誌の仕様についての記録
先日、拙作『神話創生記』の通称・朔紗夜本を製作いたしまして、
この朔紗夜本の仕様について、個人的記録として書き留めておこうと思います。
とりあえず、ざっくり纏めると下記の通り。
- 印刷所:OneBooks
- 原稿作成:
- 縦式
- CLIP STUDIO PAINT
- Figma
- inkscape
- フォント:
- 凸版文久明朝
- 凸版文久ゴシック
- ヒラギノ明朝 ProN W6
- 筑紫A丸ゴシック
- 游ゴシック
- こころ明朝
- さなフォン業
印刷所
前回のイラスト本はポプルスさんにお願いしたのですが、今回は少部数文庫本印刷に定評のある OneBooks さんにお願いしました。
OneBooksさんは、カバー・帯付きで安価に一冊から文庫サイズの本を製作することができます。
カバーが無料でついてくるっていう時点で正直もう決まりでしたよね。
OneBooksさんにお願いした朔紗夜本の装丁は下記の通り。
[ サイズ ] A6(文庫)
[ ページ数 ] 164
[ 本文用紙 ] ワンブックスノベル 66kg(A6のみ選択可)
[ 表紙用紙 ] マットポスト 180kg
[ カバー用紙 ] コート(オーロラ) 110kg
[ オビ用紙 ] -----
[ PP加工 ] カバーにクリアPP加工
[ 綴じ方向 ] 右綴じ
[ 追加仕様 ] -----
[ 備考 ] 巻頭口絵用紙変更(4ページ):ユーライト 90.0 kg
小説本を作るなら文庫サイズと決めていたので(ただいまは和綴本という仕様なので除く)、特に悩まず。
え、だってライトノベルで育ったものとしては、ライトノベルっぽい本を作るのって憧れじゃないですか。
巻頭口絵は、ラノベとかで頭に差し込まれているカラーページ部分のことです。
こちらのオプション料金は1冊の注文でも5冊分の料金〜となっていますので、ご注意ください。
オビも無料でつけられたのですが、そこまで考える気力は正直なかったので、まあ別にいいかと。つけたところで、普段帯を栞がわりにしちゃう人ですし。
本文用紙やカバー用紙などは、実際に用紙サンプルをお取り寄せして確認しました。
今回の本の目標はなるべく市販のライトノベル本に近づけることだったので、RTライトノベル用紙とワンブックスノベルとで悩んで、より薄かったワンブックスノベルを選びました。
カバー用紙とユーライトはサンプルの印刷具合見てこれでいいかなと。
ちなみに、巻頭口絵はPP加工できるのか聞こうと思って、すっかり忘れておりました、はい。
次回作る機会があったら聞いてみよう。
原稿作成
OneBooksさんに入稿した原稿の作成は、本文は縦式さん、イラスト類はいつも通り CLIP STUDIO PAINT、あとちょっとアイコン作成とかでFigmaとinkscapeを使用しました。
本文原稿
縦式は、iOS、iPad OS、Mac OS で利用できるApple系アプリになります。
Windows、Android版は開発されてませんのでご注意ください。(※開発者が何度も注意喚起している)
とりあえず文章と挿絵を流し込んで見出しとか改ページとかを整えてpdfで出力すれば、入稿原稿の出来上がりです\カンタンッ/
原稿の諸々の設定値は下記の通り。
❀用紙設定
[ ファイル設定 ] PDF
[ 用紙 ] A6 用紙 文庫本 105×148mm(縦書き)
[ 塗り足し ] 3mm
❀レイアウト設定
[ 2段組 ] -----
[ 1行文字数 ] 40
[ 1ページの行数 ] 16
[ フォント ] 凸版文久明朝 レギュラー
[ フォントサイズ ] 8.0 pt
[ 行間 ] 5.5 pt
[ 上余白(天)] 14 mm
[ 下余白(地)] 15 mm
[ 内側余白(ノド)] 14 mm
[ 外側余白(小口)] 13 mm
❀見出し設定
[ 本文と同じフォントを使う ] 使う
[ 大見出し ] 凸版文久見出し明朝 エクストラボールド
[ 大見出しの倍率 ] 1.5 倍
[ 中見出し ] 凸版文久見出し明朝 エクストラボールド
[ 中見出しの倍率 ] 1.2 倍
[ 子見出し ] 凸版文久見出し明朝 エクストラボールド
[ 子見出しの倍率 ] 1.0 倍
[ ヘッダー、フッターに見出しを表示 ] 表示する
[ 奇数ページのみ ] 奇数ページのみ
[ 見出し位置 ] 上
[ 見出しの種類 ] 大見出し
❀ページ設定
[ ページ番号 ] 表示する
[ 開始ページ番号 ] 5
[ ページ番号位置 ] 上
[ 隠しノンブル ] なし
[ 先頭に空ページを追加 ] 追加なし
正直、ほぼほぼ初期設定のままです。
初期設定から変更したのは下記の点。
- レイアウトと見出しのフォントをヒラギノフォント→凸版文久明朝に変更
- 見出しとページ番号がヘッダーに表示されるよう設定
- 開始ページ番号を0→5に変更
- 挿絵が塗り足し入りなので、出力原稿もそれに合わせて塗り足しを設定(塗り足しが3mmなのはOneBooksさんの指定)
フォントを変更したのは、なんとなくヒラギノフォントってデジタル向けなイメージがあったのと(実際にはデジタルと印刷の両方いける)、凸版文久明朝がMacにプリインストールされていたからです。
本文用である凸版文久明朝は、縦組みの読みやすさを第一に考えて作られました。
凸版文久体
って書かれていたら、使うでしょ。
それにモリサワフォントに含まれているって書かれていると、ちょっと高級感を感じてしまうデザイン庶民です。
開始ページ番号を変更したのは、巻頭口絵はpsdファイルで入稿したため、こちらの縦式で作成したpdf原稿には入っていなかったためです。
巻頭口絵分のページ数を足すと、本文は5ページから始まっていたということです。
これを設定しておくと、ヘッダーに表示されるページ番号がちゃんと5ページから始まるので、巻頭口絵が差し込まれた時にページ数が合うようになります。
塗り足しについては、挿入するイラストの塗り足しに揃えればいいです。
たぶん使用する印刷屋さんが塗り足しいくつで作ってくださいと、サイトとかに書いていると思うので、そちらに合わせれば良いかと。
カバー作成
カバーや表紙は、印刷所さんが配布しているテンプレを使用して作成、それ以外の挿絵は印刷所さんの指定サイズのキャンバス作成して、どちらもクリスタで描いています。
この時気づいたんですが、クリスタってiPad版とMac版で選択できる出力サイズ違うんですね。
Mac版だと「断ち切りまで」とか「トンボの内側まで」とか選んで出力できるので、てっきりiPad版もそうだと思ってた……。
カバーのイラスト以外のデザイン(背表紙とか袖とか)は、富士見ミステリー文庫のデザインを参考にしています。
なぜかって言われたら、そこにあったからですよね。
いや電撃文庫とビーンズ文庫と新潮文庫と他にもいくつかありましたけど、『楓の剣』とカバーデザイン好きなので。
各々の場所で使用されているフォントは下記画像の通り。
ついでにカバー下にある表紙で使用したフォントですが、表紙と背表紙は「筑紫A丸ゴシック」で、裏表紙は「こころ明朝」と「さなフォン業」です。
さて、文庫本で市販のデザインを真似ると、やっぱり「○○文庫」って付けたくなるじゃないですか。いくつか候補は考えたのですが、最終的に「桜花フジ文庫」に決めました。
理由としては、サイト名が木花佐久夜毘売命由来なので、桜は外せないじゃないですか。でもそのまま「さくら文庫」とかだと味気ない。
あれこれ考えて検索かけて居酒屋とか飲食店の名前出てくるのもなんかイヤ(というかなんかガッカリしません?)
で、最終的に葛飾北斎の作品で「桜花に富士図」って言うのをたまたま見かけた時に「コレだ!」となりました。(なにげに「桜花」が出てこなかった)
富士がカタカナなのは、
桜花富士文庫
より
桜花フジ文庫
の方が堅苦しくないし、なんかそれっぽいじゃないですか、という理由。
文庫名が決まったところで、文庫を象徴するアイコンが欲しいです。
ということで、無料で加工OKなアイコンサイトから富士山のSVGデータを貰ってきてfigmaで加工。桜花は持っているデータを加工して、ほいっとな。
桜花フジ文庫のアイコンの出来上がりです\パチパチ/
最後に、カバー裏につけるバーコードです。
手っ取り早く手に入れるなら、ISDNに登録して作ってもらうことです。
登録方法とかは調べれば先人様のお知恵が出てきますので、割愛。
頂いた画像をぺっとカバー原稿に貼り付ければ、なんということでしょう。
まるで本屋に並んでいるかのようなカバー裏の出来上がりです。
巻頭口絵について
巻頭口絵に挿入している本文の引用文章は「I-OTFアンチックStd B」を使用しています。
クリスタをインストールすると一緒にインストールされる漫画セリフ用フォントです。
原稿作成時あんまり気にしてなかったのですが、出来上がったものをを見たら、行間はもう少し狭くしても良かったなと思っています。
ちなみに、キャラ紹介ページのテキストは「筑紫B丸ゴシック」を使用しています。
本当は英数字、記号は「ヒラギノ丸ゴ ProN W4」で、ひらがな・カタカナ、漢字が「筑紫B丸ゴシック」になる合成フォントなんですが(クリスタで作れる)、今回日本語しか使ってないもんね。
今回実は、自宅での印刷テストを一切せずに入稿しています。
(だから行間が〜とか言ってるんですが)
いままでクリスタさんのCMYKプレビューで描いていて、印刷で変になったことないから大丈夫だろと思って、他のところは全然気にしてなかったです。
本文の誤字脱字についてはどうなんだ?——と言われると、gooのidraftアプリに文章を流して言い換えと校正確認したり、pdf書き出ししたのを何度も読み直したりしてるので、なんかもうあってもいいやってなってます。
そんくらい確認してあったらもうしょうがないじゃん?
とまあ、人生2回目の入稿作業はこのような感じなのでした。
文庫名とか文庫マークとか作ったから、またなんか文庫本で作りたいな、とは思うものの、作るもんもないので、またそのうち気が向いたら。
ちなみに文庫本以外だと、今までの誕生日シリーズでポストカードブック的なのは作ってみたいんですが、とりあえず扱ってる印刷屋さんを見たことがないです。
黙ってA6とかはがきサイズの本を作れということなのかな……。