無双OROCHI―成都の戦い―

 たたたんっ!
 軽快に地を蹴る音が響く。
「にしてもヒドイなぁ。あたし達を亡者だなんて」
 ザヒュッ!
 逃げた伝令兵を始末すると、くのいちは首や肩をグルリと回した。
「今ので最後みたいね〜」

 自分達の総大将を捜しているという趙雲率いる軍勢に出くわしたのは先程。
 その心意気を気に入って、幸村様や御館様を捜すついでに手を貸してあげることにしたのはいいが、嘘を伝える伝令兵が成都に潜んでいたのだから大変大変。
「まー相手があの袁紹さんじゃね〜」
 騙されている敵・総大将は、名族の袁紹。その実力はあえて伏せておく。
 ともかく、コチラとしては白帝城にいる攻められている味方と、いるはずの劉備と合流することが先決だ。
「さって、忍びの本領発揮しますか♪」
 まずは城内の味方と接触すること。敵兵も蹴散らせればなおよし。
 白帝城に向かい、くのいちは風のように駆けていく。
「おりょりょ?」
 調子よく走っていたくのいちは、城門前まで来て、思わず足を止めてしまった。
 見覚えのある姿が飛び込んできたからだ。
「あの特徴的な赤い鎧。まさか……!」
 瞬時にその武将の背後に回り、奇襲をかけてみる。
 キンッ――! ガガッ!
 あっさり受け止められ、反撃をされる。その反撃を軽やかに避けると、その武将と距離をとった。
「やっだー。やっぱり幸村様だー」
 面差し、太刀筋、鎧兜。全てが覚えのあるものだ。
 幸村も相手がくのいちであることに気づいたようだ。
「そなた!?」
 驚いた顔をしている。
「幸村様ってばどこにいるのかと思ったら、名族なんかの所にいたんだ。あの人の所じゃなんか不安だにゃ〜」
 くのいちは一寸考えると、幸村を趙雲の軍に引き入れることにした、が。
「まさか……そなたが亡者など――」
「へ?」
「しかし、この乱世。何が起きようとわからぬか……」
「幸村様?」
「この幸村。そなたの主として、責任を持ってそなたを再び黄泉に還そう!」
「うわー。幸村様、あの伝令信じちゃってるんだ……。弱ったなぁ」
 彼女に対して槍を構える幸村に、くのいちは頬を掻いた。
 まさか主に刃を向けるわけにもいかないだろう。
「幸村様〜? あたしはちゃ~んと生きてますよ~? 一回死んだように見えます?」
 とりあえず説得をしてみる。
「戯言など聞かん!」
「ありゃりゃ~。完全に勘違いしちゃってるよ。幸村様ってば知も武勇もあるくせに、変なところで素直なんだもんなあ~」
 どうやら相手をするしかないようである。
「しっかたないなぁ。幸村様、手加減しませんからね!」
 かくして、二人の組合が始まった。
 お互いの太刀筋がわかっている分、相手を傷つけずに負かす、などというのは非常にやりにくいのだが、それでもやらなければ幸村に話を聞いてはもらえないだろう。
(ここで突き上げがくる!)
 しゃがみこみ、頭すれすれに槍が繰り出されるのを肌で感じる。
 ダンッ――!
 低い姿勢のまま、幸村の喉元に食らいつくように右腕を伸ばす。
 ガキンッ!
 しかし幸村が素早く引き戻した槍の柄に阻まれる。
 そのまま苦無の刃に沿うように槍を繰り出してくる。
 飛び上がり、かわす。槍が過ぎた所に着地、足払い。幸村は半歩下がってやり過ごす。足払いをかわされたくのいちは、飛びすさって一度距離をとった。
「また腕を磨きましたねん? 幸村様」
「やっ!」
 幸村は構わずに槍をくのいちに向けて仕掛けてくる。
(趙雲さんが来る前に終わらせないとなぁ。――よっし)
 ひょいひょいと避けながら、くのいちはざっ、と考えをまとめ、行動に移る。
 一度槍を捌くと、くのいちは地面に手をついた。
「お覚悟!」
(この匂い、火薬か!?)
 幸村がそう悟った瞬間、地面が爆発した。
「くっ! 目隠しか!」
「あ・た・り♪ にゃはん」
 声は幸村の背後からした。首筋に冷たいものが触れる。
「終わりだよ、幸村様。槍を捨ててください」
「――っ!」
 幸村は大人しく槍を手放した。
「よもや亡者に負けるなど。私もまだまだだったか」
「だーから、違うって言ってるじゃないですか、幸村様」
 苦無の刃を当てたまま、くのいちは耳元で囁いた。
「だが!」
 幸村は声を荒げる。
(んもー、幸村様ってば頑固なんだから。――あれ?)
 くのいちは遠くを見た。趙雲の軍勢が見えたのだ。
「おーい! 趙雲さーん!」
「……耳元で叫ぶな」
「にゃは。ごめんごめん」
 幸村の首に刃を当てたまま、くのいちは器用に頭を掻いた。
 趙雲がくのいちの声に気づき、こちらに走ってきている。周りの兵士たちは、幸村を人質にとられ、動くに動けない状況だ。
「くのいち殿。こちらの者は?」
「わたしが捜してた真田幸村様。わたしがいくら亡者じゃない、って言っても聞いてくれなくて」
「なるほど」
 趙雲はくのいちの言葉に納得すると、幸村を見る。
「幸村殿。そなた、今くのいち殿と闘ったのであろう? その動きは亡者のものであったか?」
 幸村は答えない。
「まだ納得できないのであれば、今一度私と槍を交えよ」
「え、いいんですか? 趙雲さん」
 くのいちの驚いた声に趙雲は構わないと頷いた。
 くのいちは獲物を引くと、邪魔のなら無いところに一瞬で移動した。
 趙雲が槍を構える。幸村は一瞬戸惑うも、すぐに槍を拾いあげ、構えを取った。


〜*〜*〜あとがき〜*〜*〜

書くのを放棄しました^^;
まさか打っていてここまで長くなるとは思わなくて。

蜀ストーリーの成都にくのいちがいたらどーなるかなー、という妄想の元書きました。
とにかく二人の絡みが欲しいのだよ!!なぜ三成と絡むのだ……orz

ここに載せてる文は見直しなんてものは全くしてないので、下手な所はお見逃しを((汗))

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