RSE物語 story10―ハギ老人の小屋―

ジム戦を終えたナオはユウキと合流する。
海を渡るなら一緒にハギ老人の船に乗ろうとユウキから提案を受けるが……。

RSE物語―ハギ老人の小屋―

 ツツジがノズパスをポールに戻し、ナオに近づいてきた。
 キモリをボールに戻しつつ、ナオも応じる。
「どうして気づきましたの?」
「なにが」
「ノズパスの鼻が磁石になってることですわ」
「ノズパスがでんき技を使った時」

「それ、だけ、でして?」
 ナオの端的な答えに、ツツジは呆気にとられた。
「鉱物は、例え電気を通したとしても、自ら電気を作り出すことはない。けれど磁石は電気を作り出す」
 ナオは淡々と説明していく。
「ノズパスの鼻は特徴的だし、コンパスみたいだって思ったりもしたわね。それから、わたしがジムの入り口に立ったとき、太陽は左にいた」
 説明を終えて口を閉ざしたナオに、ツツジは目を見開いていた。
「ずいぶん、学識が高いのですね。まさかあれでバレるとは思ってもいませんでした。どうぞ、これを受け取って」
 ツツジがすっ、と差し出した手から、ナオはストーンバッジを受け取った。
 ナオはくるくると表を見たり裏を見たり、光に当てて見たりしている。
 一向にバッジから目を離さないナオに、ツツジが控え目に声をかけた
「あの、バッジがどうかいたしまして?」
 ナオがようやく顔を上げた。
「多少ほこりで汚れてはいるけど、傷がないからいいわ」
「は――?」
「ところで、なんでここ、こんなに暗いの?」
 ナオはツツジの反応を無視し、天井に目を向けた。このジムに入った時からの疑問だ。
「え、あ、はい。いわポケモンはそのほとんどが洞窟などの暗い場所で生活していますでしょう? ですから、いわポケモンが生活しやすく、かつ動きやすい場所をと思ってこのような作りにしましたの」
「ふぅん……」
 ナオはひとしきりジムの中を見渡すと、別れを言ってジムを出た。
 と、そこで待っていたのは。
「あ、ナオ!」
 ナオの顔が一気に不機嫌になる。が、その表情の変化は微々たるもので、気づきにくい。
 ジムの外で待っていたユウキも、その表情の変化には気づかなかった。
「…………なんでいるの?」
「この辺りの分布調査やってたんだけど、ナオのジム戦が気になって。でもそのバッジを持ってる、ってことは勝ったんだね。おめでとう!」
「………………」
 ナオは無言を通してバッジをカバンにつけようとした。すると、そこにまたユウキの声がかかる。
「あ、そうだ。よかったらこれ使う? 一応持ってきたんだけど、ボクは使いそうにないからさ」
 そう言ってユウキがカバンから取り出したのはバッジケースだった。
 ナオの目がしげしげとバッジケースを見る。そして受け取った。
「ありがとう。アンタにしては気が利くじゃない」
「ボクにしてはって……」
 バッジをケース内にしまい、カバンの中に入れる様を見ながら、ユウキはややへこみ気味だ。
「それでナオ。もしかしてこれから全部のジムを回るの?」
「だったら?」
「ムロタウンって知ってる? 海に浮かぶ小さな島なんだけどね。そこにもジムがあるんだ」
「それで?」
「ナオは海を渡る手段、あるの?」
「ないわよ」
 相変わらず淡々と返すナオに、ユウキは気を悪くした風もなく続けていく。
「だったらボクと一緒に来ない? 今からボクもムロに向かうんだ」
「イヤ」
「遠慮しないでよ。さっ、行こうナオ!」
 ユウキは言うが早いか、ナオの手を取って走り出した。
「は? ちょっ!?」
 予想だにしないユウキの行動に、ナオは無抵抗のまま連れていかれる。
「ユウキ! アンタ行くってどこに!?」
 ユウキは走りながら肩越しに振り向いた。
「ハギ老人のところだよ」

と、連れられるまま――どちらにせよ一度トウカに戻るつもりではあったが――ナオはユウキとともにトウカの森を抜け、104番道路にあるハギ老人の小屋の前に来ていた。

 ユウキがドアを軽く叩いた。
「ハギ老人~」
 ドアはすぐに開いた。
 中から老人とキャモメが顔を出した。
 ユウキの顔を見てパッと笑顔になる。
「おおユウキくん! よく来たよく来た♪ ん? 後ろの子は?」
「ボクのともだ」
「知り合い」
 ユウキの紹介を遮り、キッパリと“友達”を否定する。
「え……?」
 戸惑いがちなユウキに、ナオは先程よりもハッキリと強く言い直す。
「し・り・あ・い」
「あ、はい……」
 ユウキはおずおずとハギ老人に向き直り、改めてナオを紹介した。
「ボクの知り合いのナオです。ボクもナオもムロに行く用事があって訪ねてきたんです」
 ハギ老人はふむふむ、と頷いた。
「それならお安いご用じゃ。さっ、早速行こう! 今から行けば夜にはムロに着く。よし、こっちじゃ」
 善は急げ、とでもいうように、ハギ老人は小屋の傍らに停泊されてある漁船に向かって歩き出す。ユウキも後に続いて、ナオが慌ててそれを止めた。
「ちょっと待ってください」
 二人の足が止まる。
「わたしは他に用事があるんですけど」
「海を渡る用事じゃろ? さ、ナオちゃんも乗った乗った!」
「いえ、ですから」
「ほら、ナオ早く。待たせたら悪いよ」
 ユウキがナオの手を引く。
その時ポンッ、と一つのモンスターボールが開く。
「プー!」
 開いたのはナオのププリンのボールで、中から飛び出したプーはそのまま漁船の方に向かっていく。
 どうやら漁船に興味津々のようである。
 ナオはユウキの手を振りほどいてプーの後を追っていく。
「待ちなさい、プー!」

 ――結果として。ナオは海の上にいた。


~*~*~あとがき~*~*~

ハギ老人の小屋とか関係ないじゃんとは言うなかれv
ただの小話です。ユウキがナオのの交通手段を思って取った行動です。

というか、詳しく書く気は全然ありませんでした。うん、本当は。
ナオの不機嫌ボルテージ90%(笑)

ノズパスの件はあまり信じない方がいいかも。とりあえず、電気が流れることで磁界は発生するのは確かなんですが。散々苦しんだから←
でも確かモーターなんかは 、磁石同士の反発による回転で電気を起こしていたよーな気がするんですよ。

確かね。

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