RSE物語 story2―旅立ち―

ナオはユウキに勝負を挑まれる。
ポケモンを持っていないナオに、
オダマキ博士は研究対象のポケモンを一匹譲ると言い出す。

RSE物語―旅立ち―

 二人は自然と対峙する。
「人を助けない君でも、挑戦状は受け取るんだ」
「“助ける”んじゃなく、シングル“バトル”ならね」
 ナオの返答に、ユウキの片眉が不機嫌そうに上がる。
 そこにオダマキ博士の声が割って入った。
「ちょっと待った! ナオちゃん、君さっきポケモンは持ってないって」
「家に置いてきましたから。……連れてきても戦わせる気はないけど」
「じゃあどっちか君にかしてあげよう」
 オダマキ博士はそう言って、手にしていたカバンから二つのモンスターボールを取り出した。
「赤い方がアチャモ、緑の方がキモリだよ」
 ナオはちらりとユウキの手持ち、ミズゴロウを見る。
「……キモリおかりします」
 迷わずにキモリを手に取り、ボールから出す。
「行くよ」
「どうぞ」
 そしてバトルが始まった。

 ドッ。
 ユウキは両ひざをついた。
「負けた……」
 勝敗はあっさりとついた。
「こうもあっさりつくなんて」
「まあ、こんなもんか。博士、ありがとうございました」
 ナオは、キモリをボールに戻して、オダマキ博士に返している。
 オダマキ博士は受け取りながら関心していた。
「いやあ、センリから聞いてはいたけど、初めて会ったポケモンでここまでとは」
「そんなことありません。父の方がもっとずっと強いです。それでは失礼します」
 一つお辞儀をすると、ナオはミシロタウンの方へ戻っていった。
 残されたのはオダマキ親子。
 ナオが去っていった方を見つめながら、ユウキが口を開く。
「――父さん」
「なんだ? ユウキ」
「彼女、すごいね」
「ああ。私もびっくりだよ」
 負けたというのに、ユウキの顔に悔しさ、というものは一切ない。代わりに――
「父さん。少し予定が早いけど、このまま旅に出たいと思う」
 これにはオダマキ博士も驚いた顔をした。
「お前のミズゴロウは今疲れてるじゃないか」
「コトキタウンまでなら大丈夫だよ。それに、今初めて世界を見てみたいと思ったんだ」
「世界?」
 ユウキは頷く。
「ボク、ここから出たことがまだないけど、世の中にはナオみたいな子がいるんだな、って思ったんだ。そしたら、ボクの知らない世界がまだまだあるんじゃないかって、思って」
 そう。ナオに対する怒りが吹き飛ぶくらいに。
 そう言ってユウキは、にこっ、と笑う。
「……そうか。お前がそう言うなら止めないよ」
「ありがとう、父さん。それじゃあ行ってきます」
「あっちも頼んだぞ」
「大丈夫だよ。フィールドワークの手伝いくらい」
 そうして二人は、手を振って別れた。

 一日経った、明くる日の朝。
「ナオ、起きてる?」
 部屋のドアをノックする音とともに、廊下から母親の声がした。
「とっくに起きてる」
「そう。下で待ってるから、早く降りてきなさいね」
「わかってる」
 答えると、部屋の外で階段を下りていく音がした。
 一方ナオは、部屋の中でカバンに荷物を詰めていた。
 といっても、きずぐすりや救急箱、携帯食料などの旅の必須アイテムである。
「これでよし。プー、行くよ」
 ベッドの上でナオの作業を傍観していたププリンは、嬉しそうにナオの頭に飛び乗った。

「おはよう」
 一階に下りると、父親と母親がすでに朝食を済ませ、食後のコーヒーを飲んでいた。
「おはよう、ナオ。旅仕度はもう済んだのか?」
 父、センリが聞いて来る。
「今終わらせてきた」
 そう言って、トーストをひとかじり。
「とうとうナオもちゃんとしたポケモントレーナーになるのね」
「確かジムを回るんだったな、ナオ」
 紅茶を一口飲んでから答える。
「そう。目標は一応ホウエン地方の全ジム制覇」
「ということは、そのうちパパとも戦う、ということだな」
「……そういうことになるね」
 そこでナオは少し考えて。
「パパ、わたしの実力知ってるんだから、今バッジくれてもいいじゃん」
「ダメだ。欲しかったら、トウカジムに挑戦しにこい。――と、そろそろでなければな」
 時計に目をやったセンリは、イスから立ち上がった。
「そういえばナオ」
「何?」
 トーストの最後のひとかけらを口にいれながらナオはセンリを見る。
「隣りがお前を呼んでたぞ」
「隣り?」
 ピンとこないのか、ナオは眉をしかめている。そこに母親が助け船を出した。
「オダマキ博士よ、ナオ。用があるらしいから、町を出る前に研究所によっていきなさい」
「ふうん」
 そう呟いて、ナオはカップの紅茶を飲み干した。

 昨日のようにナオは研究所のインターホンを鳴らした。
 昨日と違うのは、ププリンが一緒ということと、出てきたのがオダマキ博士本人だったということだ。
「はい。ああナオちゃん! よく来てくれたね。さあ入って入って」
 言われるままに研究所に入っていく。
 一番奥の部屋に入った。
「そこのボールを見てくれるかい?」
 そう言って示されたのは、机の上に置かれた二つのボール。
「これ、博士が昨日持ってた……」
 そこまで言って、一方のボールが勢いよく開いた。中からキモリが飛び出して来て、ナオに飛び付いてくる。
「え、ちょ?」
 突然のことに困惑していると、オダマキ博士が苦笑気味に口を開いた。
「どうも昨日戦った時に君に懐いてしまったみたいでね。だったらいっそ君にあげてしまおうと思ったんだ」
「はあ」
 頭の上のププリンがキモリに挨拶をしている。
「センリから聞いたよ。君も今日、旅に出るんだってな」
「君“も”?」
「昨日ユウキも旅に出たんだ。私のフィールドワークを手伝うと言ってくれてね」
 話を聞いていたナオは、あいつか、とこっそり思う。
「それよりそのププリン一匹で旅に出る予定だったのかい?」
「はい。プーがついてくるって言うし、小さい頃から一緒だったんで」
「進化は?」
「今のところさせる気はないです」
「はあ。なかなかの度胸だね。それならキモリを君に預けて正解かもしれないな。そうだ! ついでだから」
 オダマキ博士は部屋の奥へ一度引っ込むと、何かを手にして戻ってくる。
「これも君にあげよう。ホウエンはまだ不慣れだろう?」
「ええ」
「これはポケモン図鑑。ホウエンは君がいたジョウトとはまた棲息してるポケモンが違うからね。何か役に立てばいいよ」
 そう言って手渡してくる。
「でもこれ、博士の研究で大切なものじゃ?」
「まあデータを集めてくれれば嬉しいが、ユウキもそれはやってくれているし。君の使いたいように使ってくれ」
(……いいのかなぁ、この人……)
 内心呆れながらも、ナオは素直にオダマキ博士の好意を受けとることにした。
「ありがとうございます」
「途中でユウキにあったらよろしくな」
「あーうん、はい」
 曖昧な返事をしてナオは研究所を後にした。

「できることなら、あいつにはあんま会いたくないなぁ」

 そんなことを思いながら。

 一度家に戻って来たナオは、カバンを持って家の玄関に立った。
「気をつけてね、ナオ。これ、ママからの出立祝いのランニングシューズよ」
 母親はそう言って一つの箱を差し出した。
「ありがとう、ママ」
 ナオは受け取り、早速履いてみる。
「サイズもピッタリだし、履き心地もいいよ」
「それならよかった」
 ほっ、と安堵する母親は、しかしすぐに心配そうな顔をする。
「ナオ、本当に大丈夫?」
「何が?」
「抱えてしまい込むだけじゃ、ダメよ。これはあなた自身の問題だから、パパもママもここまでしかしてあげられないけど……」
 ナオは母親が言わんとしていることがわかり、ちょっと困ったような半笑いの顔になる。
「大丈夫。ママもパパも心配し過ぎ。わたしは、大丈夫だから」
「……そうね。プーもいるし。そういえばオダマキ博士からもらったっていうポケモンは?」
「この子。キモリだよ」
 そう言ってキモリをボールから出す。
「あらかわいい子。ナオをよろしくね。ナオ、新しい子とも仲良くやるのよ」
「うん。それじゃあ、いってきます」
「頑張ってね」
「うん」
 そうしてナオも、ミシロタウンを後にした。


----あとがき----

ユウキVSナオを書かなかったのはわざとです。 ・・・まー、正直言いますとね、キモリ使ったことがないので、技がよくわからなかったんです。 アチャモも使ったことないけど(汗)

でもあえて書かないのも雰囲気出るかな、とも思ったので^^

この先はぶっちゃけますとあんま考えてないです。 このままトウカいっちゃっていいものかっていう・・・。

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