RSE物語 story3―102番道路―

コトキタウンを出たユウキは、102番道路で足跡スケッチをしている男性と出会う。
そこで遭遇したのは、怒っているジグザグマだった。

RSE物語―102番道路―

 コトキタウンで一泊したユウキは、102番道路へ足を進めていた。
「101番道路と103番道路は棲息してるポケモンにあまり違いがなかったけど、ここもまた少し違うんだね」
 辺りを見回しながら肩の上のミズゴロウ、ニックネームはゴロウに話しかける。
 ゴロウもユウキと同じ様に珍しそうに辺りを見回している。
「あれはハスボーだ。ケムッソもいる。……ん? 何、ゴロウ」
 図鑑を見ながら水辺に目をやり、草むらに目をやり……突然ゴロウが騒ぎだした。
 ゴロウが示す方を見ると、ユウキは変な人を発見した。
 草むらに隠れるようにして、地面にはいつくばっているのだ。
「背中が動いてるから息はしてるみたいだけど……。行き倒れかも」
 ユウキは図鑑をしまうと、その人の所に駆けて行く。
「大丈夫ですか?」
 そう言って前に回り込み、足を踏み入れた瞬間。
「あーーーっ!!」
 足下から思いっ切り声が上がり、ユウキは驚いて今降ろしたばかりの足を慌てて戻した。
「げ、元気そっ――!」
 ぐわしっ!
「君! なんてことしてくれるんだー!!」
 襟首を掴まれて思いっ切り前後に揺らされる。
「ああの!?」
「まだスケッチし終わってなかったのに!」
「す、スケッチ? あの、とりあえず落ち着いてください!」
 ユウキがそう叫ぶと、男は手を放した。
「あ、ああ、すまん。つい興奮して」
「い、いえ。なんかボクが悪いことしちゃったみたいですし。何されてたんですか?」
 ユウキが尋ねると、男は下に置いてあったスケッチブックを手に取り、ユウキに見せてきた。
「オレはポケモンの足跡をスケッチするのが趣味なんだ。今もその君が踏んでしまった珍しい足跡をスケッチしてたところなんだよ」
「珍しい?」
 パラパラとスケッチブックをめくっていたユウキはその言葉に顔をあげる。
「そうさ。今まで見たことがない足跡だから、きっと珍しいポケモンに違いない! ……なのに君ときたら」
 ユウキは一番最初に開いていたページを見てみた。
「あのー」
「ん? なんだい?」
「失礼ですけど、これ、ポケモンじゃなくて、人の靴跡じゃないですか?」

間。

「何いっ?! ちょっ、君!見せてくれ!」
 男はユウキからスケッチブックを奪い返すと、じーっ、とスケッチを見つめ始めた。
「――ああ!」
 しばらくして突然声を上げたかと思うと、今度は自分の靴裏を見始めた。
 そしてガクリとくずおれる。
「ど、どうしたんですか?」
 ユウキが恐る恐る尋ねると、男は膝を突いたまま答えた。
「これ、オレの足跡だ……」
――沈黙。
「あーえーっと。……よくありますよ! きっと、そういう勘違いなんて。そうだ。新しい足跡でも探してみたらどうですか?」
「でもなぁ。この辺りはもう大体……」
 ユウキはなんとか励まそうと試みるが、彼のショックは大きいようだ。
 なおも励まそうとした時、ゴロウの様子が一変した。
「ゴロウ?」
 ゴロウは突然後ろを向いて口から水を発射する。
「え?」
 ユウキも慌てて振り向くと、一匹のジグザグマがゴロウが放った水を避けているところだった。
「野生のジグザグマ!?」
 ゴロウの反応とジグザグマの様子を見るに、どうやらジグザグマは怒っているようだ、が。
「なんであのジグザグマ怒って」
 ジグザグマが飛び掛かってきた。
「うわっ!」
 慌てて避けたユウキを通り過ぎ、横にいた男な襲いかかる。
「え?」
「わっ! な、なんだこのジグザグマ!」
「なんだじゃなくて怒ってるんですよ!」  ユウキは男の手を取って走り出した。
「ゴロウが攻撃したってことは、あのジグザグマは最初からボクたちに敵意を持ってたんだね? ゴロウ」
 ゴロウは頷く。
「だとしたら、たぶん原因はあなたですよ」
 ユウキは横を走ってる男に向かってそう言った。
 男は驚いている。
「な、なんでだよ! オレあのジグザグマに何もしてないぞ!?」
「あのジグザグマ。最初からあなたが目当てみたいでしたよ。それに、別にポケモンは直接なにかされなくても怒る時は怒るんです。さっき自分の足跡をポケモンの足跡と間違われてましたよね」
「ああ」
「その時どういう風に動いていたんですか? ただ歩いていたなら、自分の足跡は後ろにしかつかないんだから間違えるはずがないんです」
 なにも、自分の後ろを向いて自分がつけたとわかっている足跡をポケモンの足跡と間違えるなど、ほとんどありえないだろう。
 男は少し考えて口を開く。
「あの時は、珍しい足跡や新しい足跡がないか、道を外れた所を歩き回ってたんだ。特に気の向くままに歩いていたから、どこをどう通ったか」
「覚えてないから、いつの間にか自分が一度通った所に戻ってきたことに気付かなかった?」
「ああ」
「じゃあ、たぶんその時、あのジグザグマのテリトリーも歩き回ったんだ。それをあのジグザグマが、あなたが自分の住みかを荒らしにきた人間だと勘違いしてるんですよ!」
「なんだって!?」
「とにかくずっと逃げてても解決しませんね。ゴロウ!」
 ユウキは立ち止まり、振り向き様にゴロウを戦闘に出した。
 ジグザグマが走った勢いそのまま突っ込んでくる。
「ゴロウ“たいあたり”!」
 ゴロウとジグザグマが、ぶつかりあう。
 ザザザッ!
 お互いの衝撃で飛ばされるが、両方ともにキレイに着地する。
(どうする? “みずでっぽう”だとさっきみたいに避けられる)
 ジグザグマが再び突っ込んできた。
「わっ!」
 ゴロウ、ユウキともにジグザグマを避け、再び足をついた時、違和感が足から伝わってきた。
 ユウキは下を見る。
「湿っぽい……?」
 土が水を含んでいる。
 横に視線を流すと、池があった。
「――ゴロウ!」
 ゴロウがユウキの声に反応する。
 ジグザグマがもう一度“たいあたり”を仕掛けてくる。
「“どろかけ”!」
 シュババッ――!
 ぶつかってくる手前でゴロウは思いっ切り土を蹴りあげた。
 ジグザグマはもろにそこに突っ込み、泥が顔にかかる。目を閉じて嫌そうにその場をウロウロとし始めた。
「いまだゴロウ! “みずでっぽう”!」
 そこにゴロウの“みずでっぽう”が決まる!
 すかさずユウキはモンスターボールを投げる。
 ポンッ!
 ジグザグマが中に入り、おとなしくなった。
 ジグザグマがボールに収まったのを見届けると、ユウキはほっ、と一息ついた。
「ふう。よかったあ」
 ユウキはジグザグマの収まったボールを拾いあげる。
「助かったよ。すごいな、君」
「いいえ。どう致しまして」
 応えてから、ユウキはジグザグマをボールから出して池の方へ歩いて行く。
 男も後ろからついてきた。
「おい、もう出したりして平気なのかよ」
「大丈夫ですよ。それに洗ってあげないとかわいそうでしょ?」
 そう言ってユウキはジグザグマを抱えたまましゃがみ込む。
 ジグザグマは池の水でパシャパシャと顔を洗い出した。
 ゴロウは池の回りで泥遊びを始めている。
「はあ〜。君優しいんだな」
「だって自分がされたら嫌でしょう?」
「違いない。そうだ、まだ名乗ってなかったな。オレはナオヤだ」
「ボクはユウキです。――ところで、どうしてポケモンの足跡のスケッチなんて始めたんですか?」
「変な趣味って?」
「そ、そういうわけじゃ!」
 ユウキが慌てると、ナオヤは声を立てて笑った。
「いいっていいって。よく言われることだから。オレの知り合いに、フトマキってやつがいてな。そいつがポケモンの足跡マニアでさ、そいつに頼まれたんだよ」
「ポケモンの足跡をスケッチしてくれ、て?」
 ナオヤは頷いた。
「ああ。元々絵なんか描くのは好きだったからな、快く引き受けてやり始めたらこれがまた結構おもしろくてな。今じゃ立派な趣味の一つになってんだ」
「そうなんですか。何事もやってみないとわからないものなんですね」
 そう言うユウキは、頬をすりよせてくるジグザグマなを撫でている。
「ゴロウ」
 呼ぶと、ゴロウは一度水を浴びてユウキの元に戻ってきた。
「お前これからどこに行くんだ?」
「トウカの方に行く予定です」
「そっか。じゃあお別れだ。オレはコトキタウンに住んでるもんでな」
「そうですか。それじゃあ名残惜しいですけど」
「ああ。ここまでくりゃ、トウカシティはすぐそこだ。元気でやれよ!ユウキ」
「ナオヤさんこそお元気で!」
 二人は手を振ってわかれた。
「さて。ボクらもトウカシティに行かないとね。ゴロウ、クマキチ」
 ユウキはジグザグマを新たな手持ちにして102番道路を歩いて行った。


----あとがき----

ユウキくんメインでっす♪

あの足跡スケッチしてる人と、ジグザグマを書きたかったんです。あはは。

ゲームやる度に、この人何してるんだろ、と思ってたので^^;

次はレッツ☆トウカシティ!

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