RSE物語 story6―vsアクア団―

ケイタとツワブキ社長、キノココと別れたユウキだったが、
すぐに何者かから逃げるツワブキ社長と再会する。
ツワブキ社長を狙う彼らは、自分たちのことを『アクア団』と名乗る!

RSE物語― vsアクア団―

 キノココをなでていた手を止め、ユウキは立ち上がる。
「ボクはそろそろ先に行かなきゃ。今日はびっくりさせてごめんね」
 見上げてくるキノココに別れを告げてカナズミシティに向けて歩き出した。
 野生のキノココは、その後ろ姿をしばらくずっと見つめていた――

 声が聞こえた気がして、ユウキは足を止めた。
 歩き出してから、さして時間も経っていない。
「ゴロウ、今何か……」
 隣を歩くミズゴロウのゴロウに視線を落とすと、ゴロウのヒレが何かに反応している。
 バッ――!
 完全に何かを探りとったゴロウは一目散に駆け出していく。ユウキも後ろにならう。
 ガササッ!
 走り出して幾ばくもせずに、進行方向から誰かが姿を現した。
 その人影を認めてユウキは目を剥く。
「ツワブキ社長――!?」
「ユウキくん!」
 先程別れた時よりもスーツが汚れている。傍らにケイタの姿はない。
 明らかに先程とは様子がおかしかった。
「ケイタは? 一緒に帰ったんじゃなかったんですか?」
「それが、変な奴らがいきなり襲ってきて。そうだ、ケイタくんを助けてくれ! 奴らの狙いは私だ。私を逃がすためにケイタくんが」
 バキバキ――バンッ!!
 ツワブキ社長の声を遮り、盛大な音が森に響いた。
 ユウキとツワブキ社長はゆっくりと音のした方を振り返る。
 ちょうど目がそれを捉えたとき、ケイタがズルズルと木の幹からずり落ちた。
「ケイタ――!?」
 ユウキが慌てて駆け寄ると、ケイタが呻きながら前を見た。
「……そ、あいつら」
「あいつら……?」
 ユウキもつられて前を見る。
 ドサッ、と音がした。
 見ればドクケイルが少し手前に投げ出されていた。見るからにひんし状態だ。
「ドッキ――っ! うつつつ……」
「無理するな!」
 ユウキの制止にも、それでもケイタは痛む体を堪えてドッキーの傍らに近づいた。
 ドッキーに手が届いたとき、上から声が降ってきた。
「忘れ物よ。わざわざ届けてあげるなんてあたしって親切ぅ〜♪」
 瞬間。ケイタがキッ―! と怒りの形相となってその人物を睨みあげる。
「親切、だって? オレのドッキーをこんなにボロボロにして! それのどこが親切なんだっ!!」
 睨み付けられた人物、青い服を着た女性は、さして気にした風もなく、ケイタを見下ろした。
「は? ボロボロ! な〜に言っちゃってんの、負け犬ちゃん♪」
「負け――!?」
 思わずあげたケイタの声もそっちのけ、女は言葉を続ける。
「相手のポケモンは徹底的に痛めつけるのがポケモンバトルってもんでしょーが。相手のポケモン気遣ってなんになるってーのよ。そ・れ・に〜」
 女は愉悦に顔をにぃ、と歪めた。
「あんたぶっちゃけ弱いしぃ♪ 雑魚は雑魚らしく、やられたら引っ込んでてくれない? 邪魔だからさ〜」
 ギリッ、とケイタが歯をくいしばったのがわかる。
 言い返したくても言い返せないのだ。女の言った自分に関すること、全てが事実だったから。
「はー、やぁっと黙った。たく、こういうクズは相手にしたくないわ。労力の無駄ってやつ?」
 本当にウザそうに長い髪を後ろにはらいながら女は言う。ユウキの片眉がピクリ、とはね上がった。
 女は興味をなくしたように視線をそらし、ツワブキ社長と向き合う。目が合うと、ニコリと妖艶に微笑んだ。
「さ、本題に入りましょーか、ツワブキ社長さん♪」
「わ、私に一体何の用なんだ。彼をそこまで痛めつけて」
「あらやだ。社長さんたら耳遠いの? 今アタシ、ちゃあんと説明してあげたのに。ま、いーわ。そこの坊やにでも後で聞いたら? こっちは雑魚のせいで予定が滞ってるの」
 女はそう言って親指でユウキを示した。
 そのユウキは剣呑な顔で事の成り行きを見ている。
「さて、こちらの用件ですが。“起動部品”はどこにあります?」
「――!? な、なぜそれのことを!?」
 本気で驚いているツワブキ社長に、女は嬉しそうに顔を歪める。
「我らアクア団にとって、その程度のことすぐに調べがつく。我々にはその部品が必要です。渡していただけません?」
 女の要求にツワブキ社長は黙りこむ。悩んでいるのだ。どうするのが一番いい選択なのか。
 少ししても返事がないことにイラついたのか、女がモンスターボールをケイタに向けた。
「渡してくださらなければ、彼がもっと痛い目を見るかも知れませんよ。アタシはどちらでもいいですけど」
「ま、待ってくれ! ――起動部品を手に入れて、一体どうする気だ」
 女の顔が苛立たしげになる。
「そんなことは社長さんには関係ないのよ。あんたはイエスかノーか答えればいいだけ」
「だが、あれは」
 女が腰に手をあて、本気で嫌そうな顔をした。
「あんたアタシの言ったこと聞いてる?ちょーウザイんだけど。事を大きくはしたくないわけ。穏便に事を済ませたくないの?」
「穏便に、事を済ます……?」
 答えたのはツワブキ社長ではなかった。第三者、ユウキの声に、女は意外そうに顔を向けた。
「なんにもしゃべらないと思ったら、なぁに? 坊や」
「ボクはあなたが欲しがってるモノが何かはわからない」
「じゃあ黙ってて」
 キッ――!
「わからない、けど! ボクは人として、トレーナーとして、あなたを許せない!!」
 女は睨み付けながら、ユウキはゆっくりと立ち上がった。
 女はどーでもよさげな目でユウキを見ている。
「べっつに坊やに許してもらわなくてもいいし〜。引っ込んでてくれない?」
「イヤだ。あなたは今、ツワブキ社長が口を割らなければ社長を攻撃するつもりだったでしょう」
 腰に手を当てた時に、モンスターボールがすぐ後ろについていたのをユウキは見たのだ。
 女はいつでもすぐに今持っているものとは別にモンスターボールを取れるよう、腰に手を当てていたのである。
 すでに見せているボールでは、自然、注意がそちらに向いてしまう。そうなると迂闊にボールを開けれなくなる。だから、不意打ちとして。
「あら。意外とよく見てること」
 女は感心した風情で、先程とは違う目でユウキを見返した。
「それで? ボクはそれを阻止します、ってぇ?」
「どんな理由があったって、ポケモンで人を傷つけていい訳がない」
「ポケモンに気を遣うなんてバカみたい。いーわ、相手したげる♪」
 痛い目見ても知らないわよ――そんな言葉が聞こえてきそうである。
「クマキチ、頼む!」
 ユウキがボールを投げ、女もボールを投げた。
「アメタマ。“ かげぶんしん”」
 ザザ――ッ!
 ジグザグマのクマキチを取り囲むように現れるアメタマの影たち。
 本物はこの中の一体のみ。
「クマキチ“かぎわける”!」
「遅い! “どくどく”!!」
 クマキチが本物のアメタマをかぎわけるよりも速く、アメタマから毒が放たれた。
「“どろあそび”!」
 クマキチが自分の周囲の土をはねあげた。一時的な土のバリアだ。
 森は基本的に湿地である。基となる湿った土ならいくらでも足元にある。さらに土は毒を吸収する。相性的にも勝っている。
「“ミサイルばり”!」
 土がまだ舞い上がる中、ユウキは次の指示を出す。
 クマキチが姿勢を低くして――
「“バブルこうせん”」
 ドゥ――ッ!!
 ハリを飛ばすよりも速く、クマキチの体にアメタマのバブルこうせんがヒットした。そのまま地面を二転三転して、クマキチは起き上がる。
「クマキチ! ――クマキチ?」
 攻撃を受けたクマキチの様子がおかしい。ダメージを負って踏ん張っているのとは別に、苦しそうに見える。
「! まさか毒!?」
「お・お・あ・た・り〜♪」
 愉しげに女は唇を動かした。
 ユウキはクマキチのそばに駆け寄った。
「なんで……」
「どく状態になるのは防いだはずって?」
 ユウキは女を見上げる。
「確かに土はどくを吸収する。けどそ・れ・だ・け。どくを無効化することはできないわけよん♪ 土が落ちきる前にアワに巻き込んで打ち出せば僅かでもどくに触れる」
「その体に触れたどくで、“どくどく”にはおとるけど、どく状態にはなる……!」
 続けたユウキに、女は嬉しそうな顔になる。
「そうそう♪わかってるじゃない。てこ・と・で」
 す――と瞳が冷めたい光を放つ。
 女はゆっくりと命令をした。
「場所は聞き出せた?」
 はっ、とユウキは慌てて首をめぐらせた。今の言葉は自分に向けてではない。
「社長!」
 いつの間にかツワブキ社長の隣に、女と同じデザインの服を来た男が一人立っていた。
「はい。ですが正確な場所は」
「いいわ。御本人が持っていないとわかっただけで十分」
「はっ」
 男はツワブキ社長を突き飛ばしてケイタの所に押しやり、女の横に移動した。
「では後は始末をつけるだけ。アメタマ!」
 アメタマの体がクマキチに向かって宙を飛ぶ。動けないクマキチを、ユウキはとっさにかばっていた。
 アメタマの手が伸びる。そのユウキとアメタマの間に、影が滑り込んだ。
 ぼふんっ!
「アメタマ!!」
 そんな音と女の慌てた声。
 ユウキは恐る恐る振り向き、驚いた。
「キノ、ココ!?」
 キノココの姿が、自分のすぐ後ろにあった。その頭からは黄色い粉が出ている。
「……“しびれごな”?」
 キノココのしびれごなは、直撃したアメタマを寄せ付けないように出続けている。
「アメタマ、戻りなさい」
 まひ状態になり動けないアメタマをボールに戻し、女はしびれごなを避けるように数歩後退した。
 キノココも撒き散らすのを止めた。
「まあいいわ。目的はバトルじゃないもの」
 女はやれやれといった感じだ。
「君、もしかしてさっきの」
 ユウキがクマキチを抱えながら呟くと、キノココが会えたことが嬉しいように応えてきた。
「ユウキくん!」
「ユウキ、大丈夫か!?」
 ツワブキ社長と回復したらしいケイタが、小走りに寄ってきた。
「うん。それより社長」
「すまない。ケイタくんとユウキくんが私のために戦ってくれていたのに」
 本当に申し訳なさそうにツワブキ社長は頭を垂れた。
 ユウキは困ったように笑う。
「……自分が持っていないとわかったら、引き上げてくれると思ったんでしょう?」
「ああ」
「でもそれで済むと思ってるのかしら♪」
 割り込んできた女の声。
 三人が見れば先程とは違うボールを手にしている。もう一人の男もだ。
 ユウキとキノココは自然と身構えた。
「是が非でも、正確な場所を教えてもらいます……と本来ならここであなた言ううとするのが普通でしょうね」
 女は無造作に無線を取り出す。
「もしもし。こちらイズミ」
 ザザ、と音が返ってくる。
「荷物は見つかりました?ええ、そうですか。では、合流します。では」
 無線が切れた。ツワブキ社長の顔が蒼くなっている。
「ま、まさか」
 よく状況がわからないユウキとケイタとは対照的に、女――イズミは笑っていた。
「ええそうです。ご想像の通りだと思いますよん♪ ……アクア団はどこにでも存在する。それだけです♪ では失礼!」
 バサッ――!!
 ボールが開いて出てきたのはペリッパー。アクア団の二人は、ペリッパーに乗り空に舞い上がる。
「あ!」
 追いかけることなどできず、二つの影はすぐに小さくなっていった。
「た、大変だ!」
 ツワブキ社長は小刻みに体を震わせている。あきらかに尋常でない。
「どうしたんですか? 荷物が何か」
「恐らく起動部品が入っている荷物のことだ。まさか、あの荷物が……!」
 それ以上は口にできずに、最悪の状況を想像して更に青ざめた。
「二人とも。更に頼んで悪いと思っているが、私と一緒に来てくれないか?!」
 二人は顔を見合わせた。
「ボクは一向に構いません。けど」
「悪いけど、社長。オレが行っても役立てそうにないから。あ、でも、森の出口までは送ってくよ! ここはオレの庭だからな!」
「……本当に、すまない」
「そんなことを気にしてる暇はないんでしょう? その部品、何かは聞きませんけど、社長にとって大事なものなんでしょう?」
「あ、ああ」
「だったら、早く行きましょう。――とその前に」
 ユウキは、キノココに目を移した。
「キノココ。ボクと一緒に来たいのかい?」
 キノココはこくん、と頷いた。
「わかった」
 ユウキは軽くボールを投げる。キノココは素直にボールに収まった。
 ユウキはキノココのボールを手に、ツワブキ社長に向き直った。
「お待たせしました。行きましょう」
 ケイタが率先して走り出す。
 ユウキは器用に走りながらクマキチの手当てをしてボールに戻した。
 森の出口でケイタと別れた二人は、急いでカナズミシティへと向かっていった――


〜*〜*〜あとがき〜*〜*〜

結局5ページ行っちゃったよ?あれ、おかしいな。

バトルに関しては、んなことが本当に出きるか何て知りません
全て相性表と想像です
考えると土の滞空時間長いよーな気もする・・・。けど気にしてたら何もできやしないのですよ!(言ったな)

この先の展開はまた後程。次は・・・、いつ更新できるんだかね。冬休みできなきゃ、大学決まるまでできないんじゃないか?

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