スレイヤーズ

恐怖のダンジョン(つーかダンジョン?)

「地図によるとこの辺のはずなんだけどな~……」

「こんなへんぴなところに本当に遺跡なんてあるのか?」

「うっさいわね。絶対この辺なの!」

あたし、リナ=インバースとガウリィ=ガブリエフは山のふもとの岩がたくさんあるところにいた。

周りは岩しかなく、昔は宝石などをとっていたようだが、今は見る影もない。

なぜ、あたしたちがこんなところにいるのかというとそれは数日前のことへとさかのぼる。

それはあたしがたまたま耳にした噂からだった。

「知ってるか? あんた」

「何をだい?」

ある、食事やさんで私が食後の紅茶を満喫している時だった。その会話がふと耳に入ってきた。

まったくもってこういう場所は情報を得やすい。

「この辺に人に見つからない遺跡があってその中心部、奥の奥にお宝があるんだとよ」

「この辺にそんな遺跡が? 単なる噂じゃねぇか? こんなところに遺跡があるわけないじゃねえか」

「でもよ~、近所の奴が捜しにいったんだよ。地図まで手に入れたんだーって喜んでたんだがな、それから二月帰ってこないんだよ」

「道にでも迷ってんじゃねえのか」

「地図まで持っててか?」

「……それもなぁ」

「で、後から聞いた話なんだがそこの遺跡を見つけて帰ってきたものはいないらしい」

―帰ってきたものはいない……。これは結構いいお宝があるかもしれない‼︎

あたしの直感がそう叫んでいた。

「ガウリイ」

あたしは彼の名前を呼ぶ。

「なんだ?」

「今から遺跡探検に行かない?」

「……またお宝目当てか?」

く……こうもすぐに見破られるとは‼︎ (ばればれ)

「……そうよ! まぁ、はっきり遺跡があるとは断言できないけど、さっきの話からしてある可能性のほうが高いからね」

「さっきの話?」

あっ、こいつ聞いてないんだ。まぁ、こいつなら聞かないだろけど。

「えっとね、さっき聞いてた話なんだけど……」

そうしてあたしはさっき聞いた噂を彼にも話した。しっかり聞いているか保証はないけど……。

「ふ~ん。それってものすごく危険じゃないのか?」

「な~に言ってるのよ! 危険なほど、とっても高価なお宝があるってもんなのよ! それも、誰にも渡したくないってくらいの高価なお・た・か・ら☆ よっし! そうとなれば、早速情報収集よ‼︎ おばちゃん! お勘定‼︎」

「……金目の話になるととたんに目の色が変わるな……」

バキョッ

「悪かったわね、目の色が変わって。さっ、さっさと行くわよ」

ガウリイの後頭部に、あたしの裏拳が決まっていた。

そんなガウリイをほっといて、あたしはその店を出る。そしてその後地図を手に入れ―現在に至る。

「だ~~~‼︎ 入り口はどこなのよ‼︎ 入り口は‼︎」

「やっぱり、嘘だったんじゃないのか~?」

「うるさい‼︎ 文句言うんだったら一緒に入り口を探してよね‼︎」

「はいはい……。で、地図だとどの変が入り口になってるんだ?」

「……書いてない。ここまでの道のりと場所が書いてあるだけで、内部の地図とかは一切書いてない」

「はぁ? つまり、自分で探せって事か」

「あ~~~~~‼︎ この辺のはずなのに、ど―して入り口らしきものが見当たらないのよ‼︎」

あたし一人、いらだっている。たく、ガウリイときたら、のほほんと人任せ体制をとってるし。

「でもよ……」

突如として、口を開くガウリイ。

「何? 探す気ないんなら話しかけないでよ」

「ここらで目立つ場所っていったら……」

「場所っていったら?」

「目の前の山しかないと思うんだが」

「そんなことわかってるわよ‼︎」

「ついでに言うと、その地図が指してあるのってあの山じゃないのか?」

「……へ?」

ガ……ガウリイの頭がフル回転している⁉︎ ―まさかね……。

「でも、確かにそうなのよね~。後は岩肌がむき出しになって広がってるだけだし……。―あれ?」

辺りを見回していたあたしは、ある一点で動きを止めた。

そこは、山のまん前に広がる岩場の一点。

岩の向こうに何かがある……よーな気がする。ともかく確かめてみるべし‼︎

あたしは、かまわずその岩に近づいた。

その岩の向こうは……

「ビンゴォ‼︎」

―薄暗い洞窟が続いていた。

「なんだ? 見つかったのか⁇」

「そうよ! ガウリイ、早く来なさいよ。置いてくわよ‼︎」

「置いてくなよ‼︎」

そしてあたしたちはその洞窟へと入っていった。

最高の苦難が待っているとも知らずに……

中は明かりがないのにもかかわらず明るかった。

石壁がずっと一本道で続いている。

「ずいぶんと明るいわね~」

「どうなってんだ? 明かりなんてどこにもないぞ⁉︎」

「たぶん、この壁自体が光を放ってるんでしょうね。あっ、念のため、周りの壁とかは触らないようにしてね、ガウリイ」

「おう」

そして、あたしたちは奥のほうへと進み始めた。

案外狭い……。この通路。横の幅が一人分しかない。

少し余裕はあるけど、それでも横に二人並んで歩くのはまず無理だろう。

天井の高さはまぁ、ガウリイが入るからそれなりにあるんだけど、狭い‼︎

しばらく歩いた。まだまだ通路は続いている。いくら明るいといっても、先は真っ暗。

―再び数分歩いたと思う……。まだ奥がある。

―……また数分。最深部につかない……。しかも、罠が何もない‼︎

やっぱり、うそだったかな……? いい加減、歩くのも飽きてきた……。

っと、そんな時だった。

「わっ! ……っと」

後ろで声が上がった。先ほどまで黙々とついてきたガウリイの声だ。

ズッ……

声のすぐ後、嫌な音がした。まるで壁の岩が沈むかのような……。

えぇ‼︎

あたしはすぐさま後ろを振り向いた……が、

「……ガウ……リイ……?」

―そこには、ガウリイの姿はなかった。

「ちょっとガウリイ⁉︎ あいつ、どこいったのよ‼︎」

ついさっき後ろで声がしたのだから、しっかりついてきていたのは確かである。

なのに、あの声と音とともにガウリイはあたしの後ろからいなくなっていた。

思わず、あたしはガウリイのいたところへと足を運ぶ。……っと同時だった。

ズズ……

「へ……?」

足元から変な音が聞こえてきた。

ズシャンッ‼︎

あたしが確認する間もなく、地面が崩れ落ちる‼︎

「れ……レビテーション‼︎」

あたしはとっさに呪文を唱える……が。

落ちる速度はいっこうに変わらない。

「え……ええええ⁉︎」

そして、あたしはそのまま下へと落ちていった。

その頃、ガウリイはというと……。

「いてててて……。あれ? リナ⁇」

ガウリイの目の前にリナの姿はない。

さて、どうなったか状況を考えると。

「あぁ!」

数秒後、ガウリイが手をポンッとうった。

「あの時小石につまづいて、思わず壁に手をついたらその壁が回って、そのまま壁の向こうに滑り込んじまったんだ!」

なんともドジな話である。

―ってことは、オレ、リナとはぐれちまったってことか。とりあえず、リナを探さないとだな……」

そして、ガウリイは再びその通路を歩み始めた。

「お~い、リナ~‼︎」

リナの名前を呼びながら。

「たたた……。ここは?」

あたしはゆっくりと体を起こす。なんか、落ちたというか、床が自ら抜けた感じがしたけど……。

あたしは思わず上を見上げる。

天井が広がっている。

そう、ずっと天井が続いており、穴などどこにもない。

「罠ね……。たぶん、ガウリイが発動させた罠なんだろけど……。たく、あれだけ壁に触るなっていったのに‼︎ あのくらげぇ‼︎」

立ち上がって服についた埃などを払う。そして、あたしは思案した。そして、呪文を唱え始める。

「振動弾‼︎」

あたしはそれを天井に向かって放った。はっきりいって、普通ならあたしのいる場所は危ないだろう。天井が崩れてくるのだから。

そう、崩れてくるはずなのだ、ふつうなら。

しかし、天井は崩れてこなかった。というか、魔術そのものが封じられているようで、先ほどの振動弾が発動しなかった。

「魔封じの壁……? オリハルコン……のはずはないわね。オリハルコンは魔術はきかないけど、封じることはできないはずだもの……」

そして、あたしはふとその辺の壁に使われている、一つの石を触ってみる。

ズ……

触れるだけで、奥へと押し込まれ、罠が発動した。

シュッ

「うきゃ‼︎」

壁から、数十本の矢が発射された‼︎

かろうじて、全てをよけきるあたし。

そのまま、先ほど押した石の横を押してみる。

再び罠発動!

今度は槍が……降って来た‼︎

あたしは通路の奥のほうへと転がってそれをよけた。

……ちょっとやな予感。

これってもしかしてもしかしますと……壁の石、一つ一つに罠が仕掛けられてる……?

ためしにもう一回‼︎

……別に、楽しんでないからね。言っておくけど。

今度は、最初の石の下の石を押してみた。

ズズ……

奥にはいったものの、いっこうに何も起きない。

―訂正。なんか壁が振動してます。

ゴゴゴゴゴゴゴ……

後ろから、何かが転がる音が……。

思わず振り返るあたし。

その先には……‼︎ 大きい岩が、思いっきりこちらに向かって転がってきている‼︎

「うきゃわあああああ‼︎」

あたしは、悲鳴をあげながら、前方へ走って逃げる。

しかし、岩は止まるとことを知らずに転がってくる‼︎

……次第に、前方に壁が見えてきた。

い……行き止まりいいいいぃぃぃいぃぃいいいいいいいいいいいい‼︎‼︎‼︎‼︎⁇⁇

「ちょっとぉ⁉︎ ここで、挟まれてぺしゃんこになって死ねっての⁉︎ 冗談じゃないわよ‼︎」

おもわず、あたしは壁を叩いてしまった。

グルンッ

いきなり、壁が回転した。

「……へっ……?」

あたしは、半分ぬけた声でそこに倒れこんだ。

そこには、再び通路が続いていた。

あたしは急いで起き上がり、奥へと走っていく。

ドウグガシャ~ン‼︎

後方で、ものすごい音がした。

振り返ると、先ほどの壁が、岩とぶつかって崩れ落ちていた。

岩も同様である。

「た、助かった……」

あたしはほっと胸をなでおろした。

気を取り直して、ガウリイを探すべく歩き始めて数分。

『……~……い……な~……お~い、リナ~‼︎』

前方の方で、声がした。この声は‼︎

「ガウリイ‼︎」

あたしは、一声声の主の名前を叫ぶと、そのまま声のするほうへと走り出した。

……しかし、道はガウリイまで続かなかった。

ふい……

走っていると、いきなり前に出した足が床をすり抜けた。

体重をかけて普通に走っていたため、そのまま……

「いたっ‼︎」

あたしは、仰向けにおっこちた。

か……かなりひはひ……。

……ってちょっと待って⁉︎ あたし、壁触ってないわよね……⁈

がばっ‼︎

すぐにその思考へとたどり着いた、あたしは上を見上げる。

「な……なにこれ……?」

あたしが落ちた(と思われる)天井には透き通った床があった。

上から見たときはちゃんとした通路が続いていたはずなのだが……。

「まさか、魔術……? でも、ここって魔術封じられて……。なんか変に入り組んでるみたいね~、ここ」

―そして、その床の上を見事に通り越してガウリイは去っていった。

何度も下から声かけたのに……。

ともかく、また進むしかないのか……。

―正直言って、こなきゃ良かったと本気で思っていた……。

「あれ……?」

罠で下に落っこちながらも、あたしはとにかく進んでいた。

すると、奥のほうに、通路よりも明るい場所が見えてきた。

まさか、最深部⁉︎

あたしは走りたい気持ちを抑えて、慎重に進んでいき、そこへとたどり着いた。

そこはかなり広い場所だった。周りには金銀財宝ざっくざくぅ♡

おそらく、ここが最深部なのだろう。

「うっひゃ~。いっぱいあるある~♡ ……でも、これを全部持ち帰るのは至難の業ね~」

そう。たくさんあるのはいいけれど、多すぎるのだ……。

とんでもないお金持ちだったんだな~。ここ造った人。

「しかたない、値打ちのあるものだけもらってこう。うん」

とりあえず、手近なものに触ってみる。

何も起きない……。……ということは。……ここには罠はないようだ。

あたしは安心しつつも警戒してお宝を物色し始めた。

「ふ~。まっ、このくらいかしら?」

持てるだけのものを頂いていたころだった。

「リナ‼︎ やっと見つけたぞ~」

入り口の方から、聞きなれた声が聞こえてきた。

振り返ると、予想通りガウリイが立っていた。

「やっほ~☆ お宝は、先に頂いたわよ♡ ……ってガウリイ、その体どうしたの?」

あたしはガウリイを一瞥して、問いかける。

なぜなら、なぜかは知らないが、結構ぼろぼろになっている。

「お前を探しててなんかいろいろ罠が発動してこうなった」

う~ん……。そんなに罠を発動させたんかい、あんたは……。

「ご苦労様。それじゃあ、ここからでるわよ」

あたしの元気な声に、ガウリイは一つため息をついていた。

文句あるなら言いなさいよね……。

「それで、……聞くだけ無駄だと思うけど、ガウリイどういう通路を通ってったの?」

「そんなこと、俺が覚えてるわけないだろ?」

「やっぱり……。とりあえず、落ちてきたんだから、上に上がればいいのよね、どうせ一本道だろうし……」

名残惜しそうに、一度だけ部屋を振り返る。

お宝さん……さようなら……。

あたしがもう一度前を見ようとしたときだった。

何かが、視界に入った。

何かとそこに視点をあわせると、なにか、ドアのようなものが目に入った。

「もしかして、まだ通路が……?」

あたしはとりあえず、そのドアに向かっていく。

その後ろへ、ガウリイがついてくる。

そして、問題のドアの前で足を止めた。

「これって……やっぱりドアよね⁇」

「じゃ~ないのか⁇」

「なんだと思う?」

「俺に聞くな」

「……いいや、開けちゃえ‼︎」

「おい!」

あたしのとっぴょーしもない一言につっこみを入れるガウリイ。

何よ~……。―とか思いつつ、ドアを開けるあたし。

そのドアは横にスライドする形だった。

その奥にあったものは……‼︎

「き……きれい……‼︎」

あたしは、目の前に広がった絶景に感嘆の声を漏らした。

ガウリイは、呆然としてその絶景を見ている。

そう、扉の向こうにはきれいな見晴らしのいい景色が広がっていたのだ。

どうやら、この山の反対側は、崖になっていてそこの下から森が続いていたらしい。その森の先には町が見える。

そこのちょうど景色のいい、見晴らしのいい部分にその扉はあった。

人が落ちないように工夫もされている。

しばらくそこを眺めた後、周りを見ると、横から下へと伸びる階段があった。

どうやら、ここから外に出られるらしかった。

そこを二人で降りていくと、洞窟があり、横手には川が流れていた。

そこを抜けると……。

パ~ン‼︎ パパ~ン‼︎

「おつかれさまで~す‼︎」

「よく、お宝もってこれましたね~。結構自信作だったんですが……」

「あっ、お宝はこちらで預かりますので、お持ち帰りはしないでくださいね」

洞窟を抜けたとたんになぜかクラッカーの雨を浴びる私たち。

しかも、これは……ねぎらいの言葉なのだろうか⁇

いまいち話の見えない私たちに向かって、謎の人物一は私たちに説明し始めた。

「いや~、旅のお方。もしかして、何も知らなかったようですね~」

「あ……当たり前じゃないですか‼︎ 私は噂を聞いてきただけなのに、これはどういうことでしょうか?」

「あの遺跡ですね、町興しのために私たちが造ったものなんですよ。材料とかよくわからないんですけど、まぁ、使えればいいか位の気持ちで造ってみたら、中で魔法が使えない状態になってしまいましてね~。それで、その噂を町の人たちと協力して撒き散らして、案の定あなたたちのようなお客さんが来てくれるんですよ。それで、なんか町の人たち楽しくなってしまったみたいで、ずっと続けてるんですよ~。あっ、でもあの遺跡を通り抜けられたのお客さんが一組目ですよ。他の人は恐くて帰ってきてしまうんですよ~。あっはっはっはっは」

をひ……。話し長いぞ、おっさん。しかも笑うところなのか……?

いや、その前に町が町興しするなよ。村興しならまだわかるけど……。

そして……、お宝は「がんばりました」という賞状に化け、私たちはその町を後にした。

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