ただいま見参! 想起録 第三話

序章

静かな闇が広がっていた。

空に月はなく、代わりに瞬く星すらも、まるで襖に描かれた絵のように闇色の空に静止している。無残に破壊され焼け跡の残る家々からは、人々の寝息も、悲鳴も、啜り泣く声すらも、聞こえてはこない。村の傍らに佇む山ですら、虫の音も、動物の気配も、生の気配というものを何一つとして感じることはできない。息を潜めているのか、本当にいないのか。

少なくともそこにはただ―死の静寂だけがあった。

たった一人、血溜まりに蹲る少女だけを残し、その世界は時を止めた。

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