本編ダイジェスト

第一話以降の話の流れを、プロットのような形で書き出しました。
天空の喪失に関しては、第一話以降を小説で書くようなことはしませんので、これにて御勘弁願いたく思います。

 レイラ、リィと共にベルマークシティに来たテイルは、レイラの計らいでレイラが通う名門校コバルト学園高等部に通えることになる。


 ミズィアム家に下宿させて貰いながら学校に通うテイルは、彼女が学校でひそかに人気があるのを目の当たりにする。

 一方で、カルザスがレイラに片想いする一人の男子生徒を利用して、レイラを学校内で孤立させようと企む。

 レイラも自分の事を好きだと思い込まされた男子生徒の手によって、カルザスの思惑通り、レイラは力の発動により周りから遠巻きに見られるようになる。

 自身の力に悩んだレイラは、父親に尋ねることにする。父親から返ってきたのは「レイラとは血の繋がった親子」ではないという事実だった。

 その事実を聞いたレイラは、父親の話を最後まで聞かずにその場を飛び出していく。

 気味悪がって近づかない学校の生徒、関係がギクシャクし始めた学校の友人、実の親ではない事実から、レイラの心の支えは変わらずに接してくれるテイルだけとなる。

 そんな折、テイルが目を離した隙にレイラがカルザスの手によってクラスメイトの目の前で堂々と連れ去られる。

 教室の中でレイラを守ろうとする人が誰一人居なかったことに、とうとうテイルはその場にいたクラスメイト全員を怒鳴りつける。

「彼女が好き好んで誰かを傷つけるような人に見えるのか!? なんで信じてやらないんだ!!」

 一通り言いたいことをぶつけたテイルはリィと合流してレイラの後を追いかける。途中、カルザス配下の妨害に遭い、リィと一時的に離れ離れになる。

 リィと引き離されたテイルは力で防御しながら攻撃を凌いでいたが、岩場にぶつけられた拍子に気を失ってしまう。

 意識を失くしたテイルに止めを刺すべく、配下が拳銃の引き金を引いた。そこまでの一連の状況を遠視機器により見せられていたレイラは、最後の支えにしていたテイルを失ったと思い込み、自我を手放してしまう。


 テイルがぶつかった岩は薄い岩盤だったのかぶつかった衝撃で崩れ落ち、洞窟に繋がっていた。

 その先には迷い込んでいたリィがおり、飛び込んできたテイルに驚くが、すぐに彼が気を失っていること、敵が近づいていることに気づく。

 形振り構わず本来の姿に戻ると彼の髪の毛一筋を媒体に魔法で彼の偽物を創りだし、リィは本物は連れて洞窟の奥へと転位し、彼の治療を始める。

 治療を終えてリィが再び小さい姿に戻った後、テイルが意識を取り戻す。

 目覚めたテイルと情報交換をしていた時、リィがうっかりテイルの出生について知っていると口を滑らせてしまう。

 聞き逃さなかったテイルがリィに教えてくれるように頼むと、リィは渋々テイルの出生についての事実を明かした。

「ティル。あんたに両親はいない。レイラの本当の一族、ウェイズ一族がレイラの力を分散して封じ込めるために造った、一族の誰かの複製人間(クローン)よ」

 リィは元々ウェイズ一族に使える妖精であったこと、そのためテイルの出生について知っていたことを彼に話す。

 本来破壊の力と再生の力はセットで一人の人間に宿るものであり、その力に目をつけられた一族は戦争に巻き込まれて滅ぼされかけることとなる。

 所謂「自分達に協力しないんじゃ脅威だから滅ぼしちゃえ」という考え方で、一族は逃げて隠れ住むことを余儀なくされる。

 自分達の子孫にはこんな辛い思いをして欲しくなく、生き残った一族は力をなんとかする研究を始める。リィもその研究に協力し、その結果が今のレイラとテイルの形となった。

 二つの力は同時には使用できないことから、二つの力のどちらかを別の人間に移せないか、片方の力だけを使わせ続ければもう片方の力は発動しないのではないか。

 しかし、一族以外の人間では力を宿すことに身体が耐えられないため、一族の誰かを犠牲にする必要が生じ、そこでたどり着いたのが複製人間(クローン)だった。

 リィの力も借りながら研究を完成させた彼らは、レイラを裕福な家へ、テイルを孤児院へと預けた後、更にレイラの力が発動しにくいよう、悪意ある敵から彼女を守れるようリィに結界を張ってもらった上で命を終えた。

 リィが最初ベルマーク郊外で寝ていたのも持続的に結界を張り続けるためであり、リィが眠りから覚めたことで結界が消失、“悪意ある”カルザスの手がベルマークシティ内部にまで及ぶようになる。

 テイルは自身の真実を知ると、改めてレイラを助けなければという意志を強く固める。

「一族の皆が託した願いがオレだろう。だったら、その願いを叶えなきゃ」

 テイルはリィの力を借りてレイラを載せた飛行船に潜り込む。その間にも、レイラの力を勝手に暴走させたカルザスの攻撃が辺りを焼け野原にし始めていた。

 飛行船の中を捜索してレイラを見つけたテイルは助けだした拍子にそのまま階下に落ちていくが、リィがギリギリ魔法で二人を助けることに成功する。

「ばっかティル! 勝手に飛び出すんじゃないわよ! あたしが間に合わなかったらどうするつもりだったのよもー!!」

「悪い、助かった。レイラ、大丈夫か!?」

「……テイル? 本物の、テイル?」

「良かった、生きてた――っ!」

 無事に再会したのも束の間、二人と一匹を逃がすまいとカルザスがわざと荷を崩れさせる。二人を庇ったリィが直撃を受けるが、ギリギリ本来の姿に戻って作った防御結界により無傷の姿を見せる。

 初めてリィの本来の姿を見て訳がわからなくなっている二人を先に行かせ、リィ――リィベイラはカルザスと対峙する。

 カルザスがリィが伝説の大妖精リィベイラであることを見抜くと、リィベイラは彼が妖精の事を知っていた事実に不遜な笑みを浮かべる。というのも、妖精に関する資料や情報はある一件から妖精界側が削除し人々の記憶からも遠ざけていたからである。

 カルザスの家系は代々名門軍将を輩出してきた家であり、事実彼の兄弟も優れた能力を持っていたが、カルザスは兄弟から落ちこぼれとバカにされていた。

 彼らを見返したい、自身にも強い力があることを示したい一心から偶然にも妖精とウェイズ一族の事を知ることになる。

 リィベイラがカルザスをぶちのめすと(結果はご想像にお任せします)、二人と合流して一緒に飛行船を脱出する。

 しかし、時は既に遅く、焼け野原となった地面がずっと先まで広がっていた。その事にショックを受けるレイラに、テイルが彼女の手を取りながら優しく話しかける。

「大丈夫、きっとまだ間に合う。オレの力がある。元々レイラの力だから、一緒に願おう」

 テイルの言葉にレイラは頷き、二人でレイラの力で壊してしまったものを再生させることに成功させる。


 この時を境に、テイルの身体は徐々に衰弱を始める。

 元々、複製人間(クローン)の身体は完全には力の内包に耐える事ができず、レイラの力が目覚めたことでテイルの力も枷が外れて肥大し、大きくなりすぎた力に身体が耐えられなくなってきたためである。

 最初は一瞬意識が遠くなる程度だったが、日を追うに従って意識を失う時間が長くなっていき、最終的には心臓が止まるようになりはじめる。

 皮肉なことに、テイルの力が意識しなくても自身の身体を勝手に治してくれるようになったため、力のせいで身体が壊れかけているのに力がそこを治してくれていたのである。

 しかしそれも均衡しているわけではないため、身体の耐久力が保たなくなってきていた。

 授業中に倒れ、レイラに隠し続けていたがついにバレて叱られる。テイルはベッドに横になりながら「ごめん」とだけ返した。

 リィはその事に彼らに会った当初から気づいており、その事実にずっと悩んでいた。彼女が守りたいのはレイラだけだったが、テイルも守りたいと思うようになっていたため。

 もう長くないと感じ始めたテイルは、レイラとの決別を決意する。

 テイルは見舞いに来るレイラに、彼女が自分に対する気持ちを確認してからもう自分のことは忘れるように現実を突きつける。

「なあレイラ。オレたちは、友達だよな?」

「そう、でしょう? 私達は友達――親友よ」

「ほんとうに、それだけか? そう思ってるのか?」

「! ――私、あなたのことが好き」

「知ってた。だから言うよ。レイラさん、いい機会だし、もうオレのことは忘れなよ」

 そもそも身分が違う事実、住む世界が違う事実をテイルはレイラに告げる。


 悩むリィの前に妖精界の長老が姿を見せる。リィの罪を言及し、しっかり考えるように諭して長老は帰っていく。

「お前はあれでいいのか? ――お前の犯した罪は重い。忘れるな、彼らはお前が罪を犯した証であり犯した罪の結末であることを」

 そもそもの始まりはリィがウェイズ一族の初代と関係を持ったことだった。

 彼に仕える事としたリィベイラだったが、彼と愛人関係となり子をなしてしまう。妖精界で人と交わるのは最も重い罪であった。

 長老が彼女に下した罰は、その一族の行先を一族に仕える事で傍らで見守り続けることであった。「自分が何をしてしまったのかその目で見ろ」ということである。

 彼らが持つ力はリィベイラから授かった力であり、元々妖精である彼女の力であった。

 二人の力の源となっているリィ自身がこの世から消えることで彼らの力は失われる。ようやく長老から赦しが出て“見守り続けること”から開放されたリィは、消えることを決断する。

 ただそれは、同時にテイルもこの世からいなくなることを意味していた。

 当時の技術力では人間の手だけで複製人間(クローン)を完成させることはできず、リィが魔法で手助けをしてしまっていた。そのため、テイルの体を人の形に構成している一因子にリィの魔法があり、リィが消えるということはその魔法に対する魔力供給が無くなり、魔法が解かれるということでもあった。

 リィはテイルに全てを打ち明け、自分が消えてもテイルの中の魔力が完全に消えるまでは生きれると思うことを告げる。

 全てを知ったテイルは、いつまで持つかわからないなら、とリィに自分も一緒に消すようにお願いする。リィの承諾を得たテイルは、体調不良を理由に学校を辞めて故郷のカーナに戻ることにする。

 カーナに帰るテイルを見送ったレイラは、直後に父親から明日渡すようにと預かっていたテイルの手紙を受け取る。それを読んだレイラは、すぐに駅までテイルを追いかけることを決意する。


拝啓 レイラへ

 

 

 この手紙をレイラが読んでる頃、きっとオレはもうこの世にはいないと思う。君は怒るかな。怒ってきっと泣くんだろうね。ごめんなさい。
 けれど、どうしても直接口では言いにくくて、ズルいかもしれないけれど手紙で君に本当の事を告げたいと思う。

 

 まず、オレは人間じゃない。リィの話によると、オレはレイラの力を分散して抑え込むために造られた、ウェイズ一族の誰かの複製人間らしい。ちゃんと人として生まれていないからなのか、複製人間の身体は彼らの持つあの力には耐えられないんだそうだ。だから、オレの身体もあの力が宿っているには限界が来ていたらしい。

 

 それから、当時─今もそんな技術が確立していないのを見ればわかるかもしれないけれど、人造人間も複製人間も造る技術なんて存在しなかった。今も存在していない。オレは、未完成の複製人間だ。その未完成の部分を、リィが魔法で埋めてしまった。これも、オレが人間じゃない理由。リィの存在と、魔力の供給がなければもう、人として活動することもできなくなってきてる。

 

 学校で俺が何回か倒れたのは知ってるよね。あれは、身体が大きくなり過ぎた力を保持する負荷に耐えられなくなってきていた事と、リィが側にいなかったのが原因なんだ。その後意識を取り戻すのは、力がオレの身体を生かそうと勝手に治していたんだって。皮肉だよな。その力のせいでこっちは死にかけてたのに、その力のせいで生かされていたなんて。でも、これもいつまで続くのかはわからない。もしかしたら、本当はもうオレはとっくに死体になってるのかもしれない。

 

 そして、オレと、主にはレイラの持つ力のことだけど、あれは本来一つの力なんだって。これも、リィが教えてくれた。そもそも、この力は元々リィのものらしい。リィが……リィべイラが人を愛して子を成してしまったのが、原因だって。だから、この力はリィが消えれば消滅するらしい。

 

 

 だから、オレもリィと一緒に消えることにした。

 

 

 この先オレはいつまで生きられるのか、まともに人の振りができるのかわからない。もし、オレだけ消えてしまっても、今度はオレに宿ってる力がどうなるかわからない。それこそレイラに戻ってしまったら本末転倒だ。レイラの一族は君を力から解放したかったのに。リィが今消えてもあんまり事態は変わらない。少しだけ良い方に傾くだけだ。リィが消えてもオレはしばらくは生きられるかもしれない。けど、それもいつまでかなんてわからない。だから、リィに頼んでオレも一緒に消してもらうことにした。オレを人として形づくってる魔法を解いてもらうだけだ。カーナに戻って、クロックスの人達にお礼を言わせてもらって、オレは、そのまま消えることにした。きっとそれが一番良い。オレみたいな不完全な存在はこの世に存在してちゃいけない。
 黙っていたことを許して欲しいなんて言えないけれど、謝らせてほしい。

 

 

 ごめん。

 

 

 それから、今までありがとう。学校のことも生活のことも、オレを一人の人間として愛してくれたことも。

 

 好きだと言ってくれて本当に嬉しかった。レイラのこと、ほとんど一目惚れのようなものだったから。
 あの時迷惑なんて言ったのは嘘。本当はすごく嬉しかった。オレもレイラが好きだっから。一人の異性として。

 

 だからこそ、レイラの泣き顔を見るのは嫌だったんだ。君の笑顔が好きだから、できればこの先も笑っていて欲しい。あの、凛とした花のような笑顔で。

 

 そして、これは我儘だけど、オレのこと、リィのこと、忘れないでいてくれたら嬉しい。聞かなくてもいいけど、こんな我儘。

 

 

 ありがとう、さようなら。元気で。

 

 

テイルより


 テイルを説得して二人と一匹は一緒にカーナに行くことになる。

 テイルのことは病気として通し、レイラは彼に同行して病気についてはこちらの不手際として謝罪をして回った。

 人気のない場所に移動した彼らは、最期の会話を交わす。テイルはレイラに自身のペンダントを手渡し、リィと一緒に姿を消した。


 話は少し遡るが、レイラが攫われて学校に戻ってきた時、力がバレる前に親交を交わしていた女子生徒から謝罪を受ける。

 テイルに叱責された事で事実を受け止め、それでももう一度レイラと友人関係をやり直したいということだった。

 今ではその女子生徒とも以前以上の友情を築いている。クラスメイト達とも、その女子生徒の件もあって徐々にだが元に戻りつつある。

 ここまでお読みくださりありがとうございます。

 これが大体の本筋原案なので、実際に書き出したら26度くらい話が変わってくる気はしますけどね。すでに初期から結末が変わってたりしますし、自分で書き出してツッコミどころ満載だな! とか思ったりしてますし。